琴・三味線の販売、修理専門

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琴・三味線の情報コーナー

創業・明治34年 琴・三味線 修理・販売

現在使用されている琴の9割以上が山田流の琴と考えて差し支えありません。その山田流の琴の長さは約182cm(6尺)です。 ちなみに、生田流の琴は京都では約191cm(6尺3寸)、大阪では約176cm(5尺8寸)といった地域差が見られます。そのほか、短琴(たんきん)と呼ばれる短い寸法の琴もあります。

重量は平均で6~7kg程度です。
長さから受ける印象ほど重いものではありません。強度のある固く締まった桐は重いのですが、 薄く仕上げることができるため、必ずしも固い材料だからといって重さが増すとは限りません。

広い場所で運ぶ時には、琴の中心部分を小脇に抱えるようにして運びます。自宅などの階段の上り下りでは、 小脇に抱えた状態で先端を少し上げ下げすると、力のない女性でも無理なく運ぶことができます。
乗用車で運ぶ時は、2ドアの自動車の場合、助手席を倒して寝かせた状態で運搬するのが一般的です。 ただし、琴の材料である桐は柔らかいので、無理に押し込むと傷がついたり、へこんだりするので禁物。電車で移動する際は、ラッシュ時をできるだけ避けましょう。

桐です。桐は比較的他の木材に比べて軽量ですが、琴に使用される部材は寒い地域で生育された目の詰まった重いものが適しています。 木の直径が琴の幅より太く成長するには、20年以上かかります。また、普通の板目で30年以上、柾目では60年以上が必要といわれています。 もちろん、天然の材料なので同じものはひとつとしてありません。

ひとつの目安として、龍角、雲角、四分六、柏葉の装飾などがあります。それにより、ベタ、角巻(かくまき)、半角(はんうわ)、 上角(うわづの)、金口(きんくち)、くり甲などに分けられます。木目は一般に多いほうが良品とされています。これは見た目の美しさだけでなく、 木目が詰まっていることから木質が固く引き締まっているという意味も含みます。木目のとり方には、木目に直角に面を取る方法(柾目)と、平行にとる方法(板目)の二種類があります。

三味線の材質

紅木 インド・マドラスの一部地域でとれる灌木頗る堅く虎譜、簾は良材で貴重品です。 高級品向き
紫檀 タイの一部でとれる木。黒筋の入った良材は適しています。 中級品向き
花林 タイ産が通常使用されている普及品として貴重な材です。 稽古品向き
白紅木 セイロン島産。現在は殆ど使用されていません。 高級品向き
国産 主に小唄に使用。現在はあまり使用されません。 中級品向き
花林 三味線材の中では木質が柔らかい大木、木質から胴材に適しています。

見る、弾く、習う

LEARN

見る

見る

琴の魅力を知る一番の近道は、実際に演奏を見聞きすることです。演奏会は、定期的に各地のホールで開催されています。特に首都圏では、琴や三味線を交えた邦楽器のリサイタルやライブ・コンサートが比較的多く行われています。無料の演奏会も多く、気軽に足を運んでみてはいかがでしょうか。なかなか直接見られる機会がないという方は、プロの演奏家や若手のアーティストの作品が収録されたCDをネットや店頭で入手されるのもよいでしょう。また、琴に対する造詣を楽しみながら深める上で、琴をモチーフに取り上げた絵画や映画を鑑賞するのもおすすめです。一例として、琴を題材とした絵画作品では、古くは源氏物語絵巻に収録される「橋姫」、鈴木春信の「琴路の落雁」などがあり、当時の文化・風俗を知る一助ともなります。

弾く

最近では琴も比較的手頃な値段で手に入るようになってきたことから、趣味や教養の一環としてご家庭でも始めやすくなってきました。琴を部屋などで弾く場合は床において、正座した状態で演奏しますが、正座が苦手な方や、床がフローリングなどの場合には、立奏台を使って椅子に座って練習する方法もあります。

見る琴の音階は現代の楽曲と古曲の楽曲では若干異なりますが、現代曲ではピアノやオルガンで用いられる平均律(1オクターブを均等に12等分した音)にほぼ対応しています。特定の和音を強調する響きを作るには、琴柱を動かして調弦します。ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ・ドといった音の高さは、電子チューナーに合わせてご自身で行うことができます。演奏は、右手の親指、人差し指、中指の先に付けた爪で13本または17本の糸を、強弱や角度をつけてはじいたり、すくったりして行うことで、四季折々の季節感や想いを込めた多彩な表現を行うことができます。

習う

見るカルチャースクール、クラブ活動、家元、学校教育なでのレッスン

最初のうちは独習だけで上達するのはなかなか難しいかも知れません。そこで、カルチャースクールや会社の同好会・サークルなどを活用してみるのも手です。技術的な疑問をその場で解決でき、仲間と互いに触発しあえることで長続きできるメリットがあります。最近では小中学校の授業に取り入れられるようになっており、小さいお子さんも触れる機会が次第に増えてきました。

高校生・大学生ならば音楽学校や専門学校以外にも、クラブ活動などに参加するのもよいでしょう。琴のきちんとした手ほどきを受けるなら、先生のもとで、しっかり学ばれることをお奨めします

三味線、琴、象牙ばち、
べっ甲製品のお手入れ方法

How to Maintain

エアコンの冷房や暖房の熱が直接あたらない状態で保管します。

  • 三味線立箱(桐製)、又は三味線トランクに入れて保管する。
  • 中に乾燥剤(和楽器専用)を入れておくと良いでしょう。
  • エアコンの調整をする。(湿度は30~50%)
  • 人が快適と思われる温度、湿度が良いでしょう。
  • 皮は経年によって少しずつ緩んできますので、音色に冴えがなくなってしまいます。その時は皮の張替えをお勧めいたします。
  • つや布きんでさおを拭く。
  • 湿気を払う方法として、つや布巾又は日本手拭で皮の表面の周り(経口)を拭く

演奏、練習後のお手入れ 琴

ホコリも木目をつぶすので演奏又は練習が終わった後 綺麗な手ぬぐいや艶布巾等で空拭きして下さい。琴柱を外し、布製の袋などに入れて保管します。
皮革やビニール製の袋に長期間入れるのは通気性がないのでカビの原因になる場合がありますのでお勧めしません。

十月のお手入れ

秋本番を迎え 気温、湿度共、低めで和楽器には安心な季節ですが、時々は入れ物(立箱、トランクケース)を陰干しをして乾いた風を入れたり空拭きをして下さい。お部屋の温度、湿度調整を常に心掛けましょう。日頃のお手入れはとても大切ですので下記の事を心掛けましょう。

  • 三味線 三味線ケースや長袋から出してまめに乾拭きしましょう。 特に皮の周り(経口の部分)や出来れば胴掛けもはずして空拭きして下さい。 同時にケースの蓋をあけたり、立箱の中も乾いた風を入れ空拭きして下さい。 通常は、直射日光を避け、エアコンの冷気や暖房の 熱が直接あたらない状態で保管します。
  • 象牙撥(長唄、津山)、べっ甲撥(津山、津軽、民謡)のお手入れ 撥入れケースから出して つや布巾や柔らかい布で、ていねいに拭いて下さい。 べっ甲製品には虫がつく場合がありますので撥入れに ナフタリンを入れておくと良いでしょう。
  • 糸が当たる部分を〃耳〃といいますが使用頻度により 減って丸くなってきたり又は欠けても元の状態に修復は可能です。

三味線の仕組み

STRUCTURE of SHAMISEN

琴の仕組み

STRUCTURE of KOTO

各部の名称

各部の名称

三味線の歴史

History of SHAMISEN

三味線の名称

各部の名称

三味線 胴部分の名称

音色を増幅する中空構造

三世紀 古代Photo:琴の内部(綾杉部分)

琴は絃の音を増幅するために中空構造になっています。内部は完成品の状態では裏穴から覗き込まなければ目にすることはできませんが、その仕上がり具合で音色も微妙に変わってきます。

特に、綾杉と呼ばれる部分は熟練した専門家の手による削り方次第で、音色や音量といった基本となる性能が決定してしまいます。

三味線の種類

三味線には大きく分けて、①長唄用 ②小唄・清元用 ③常磐津・新内用 ④地唄用
の4種類があり、それぞれ胴の大きさ・深さ、棹の太さが異なります。

琴の内部

琴の内部

素材の種類

棹の種類は、花林、紫壇、紅木、とち の4種類となり、堅い材質ほどよい音色がするといわれています。

素材の種類

花林 紫壇 紅木 とち
硬さ
薄茶色 黒紅紫色 ワインレッド ワインレッド
棹に美しい模様が入る
高級度 ◎◎ ◎◎

※胴はすべて花林でできています。

棹の太さ

三味線を使用するジャンルにより棹の太さも異なります。

棹の太さ

細棹 中棹 太棹
ジャンル 長唄三味線 地唄三味線
民謡三味線
津軽三味線
用途 歌舞伎の伴奏などに使用される 民謡や琴との伴奏や合奏に使用される 迫力のある音を出すときに使用される(独奏)

並甲(なみこう)と刳甲(くりこう)

  • 三世紀 古代琴の内部(綾杉部分)
  • 三世紀 古代刳甲の裏板(上)と内部(下)
    手が込んでいることが分かります。
  • 三世紀 古代並甲の側面。磯の部分に境目がみえます。

琴には、裏板の取り付け方から2種類の呼び名があります。並甲と刳甲です。磯をよく見ると両者の違いがお分かりになるでしょう。並甲では表甲と裏板を水平に貼り合わせる(ベタ付け)ため磯の部分に境目が入っています。

一方、刳甲では表甲と裏板を45度の角度の切り込みをつけた上で張り合わせます(トメ付け)。刳甲は高級品に採用されるもので、境界線がないという外観上の問題だけでなく、材料も含めて全体的に上質な作りになっています。
特に、綾杉と呼ばれる部分は熟練した専門家の手による削り方次第で、音色や音量といった基本となる性能が決定してしまいます。

琴の断面図

  • 刳甲(トメ付け)刳甲(トメ付け)
  • 並甲(ベタけ)並甲(ベタけ)

天然素材と化学素材

胴樹木の年輪は一年にひとつずつ、四季を通じた寒暖の変化によって作られます。しかも、育った地域の日照時間や気温、降雪量、水質などの環境によって出来方は随分と違ってきます。日照の関係もあり、同じ桐の木でも北面を向き、木の表皮により近いほうが木目が高密度に詰まって固く締まったよい材料です。もちろん、一本の桐の木の中に条件を満たす部位はごくわずか。最良の材料は一本の木につき、一面ほどしか取れないほどなのです。(胴の大きな17絃であればさらに少なくなります)この差が各商品の価格にも反映されてきます。桐のほかにも、角や足には、紅木、紫檀、花梨などの木材が使われます。それぞれいくつかの種類があります。なお、近年は国内産の木材だけでなく、中国などで生育された海外産が使われることもあります。一般的にそれほど大きな音質や音量の差が現れるわけではないですが、低コストで調達できることから学校教材用などの普及に一役買っています。

木目は、原木からどのように琴の材料を切り取るかで決まります。木取りには、中心から放射状に切り出す柾目(まさめ)の木取りと、同心円状に切り取る板目(いため)の木取りがあります。二つの違いは、縦に平行に揃った木目が甲と磯のどちらかに見えるかです。甲に美しい木目が出た柾目は、音色も低音から高音までほぼ均質であるという特徴があります。柾目はそれなりの樹齢を経た、幹の太い原木からでなければ取ることができません。ただし、琴の音質は木目で決まるわけでなく、むしろ固さや密度などの木質に影響を受けます。固いほど切れのある音質になり、柔らかであれば丸みのある音がでます。熟達してくると曲に応じて使い分けることもあります。

絃(げん)

絃(げん)絃は本来、柔らかい絹糸が使われますが、現在は丈夫な化学繊維であるテトロン糸が主流になっています。テトロン絃は切れにくいため強く張ることができるます。そのうえ、弾力が落ちにくいという利点があります。張力が強ければ音質も立ち上がりが鋭く、切れがあり、音量もしっかり出すことができます。一方で、絃が接触する「角」はその分、高い強度を持ち、やや大きめに加工されたものが向いています。太さも数種類あり、太いほど力感のある音質になるので曲調などに応じて選ぶ場合もあります。まずは標準的な太さの絃をお使いになるとよいでしょう。

柱(じ)

柱(じ)絃を支えながら、音の高低を決める役割を果たすものが柱(じ)です。柱は、もともと象牙が使われていましたが、現在ではプラスチック製が一般的です。柱のサイズが大きいほど音量が増しますが、お使いの琴にしっかり合ったものを選ぶことが前提です。

爪指先の大きさや形には個人差がありますので、まずは手にとって弾きやすいものをお選びになるのがよいでしょう。薄いほど繊細な音が得られますが、実際は音量が出るやや大きめで厚めのものが使われています。また、使いやすいように爪の先端を削るなど必要に応じて加工を施すこともあります。

琴の歴史

History of KOTO

三味線の歴史

三味線は本来、中国より伝来した楽器であるといわれています。

室町時代に中国の「三絃」が琉球へ渡来し「三線」となり、それを日本の楽器として改良、発展させたものが「三味線」です。日本に正式に伝わったのは16世紀ごろと言われています。
「三線」は日本の音楽に合わせた自由な改良がおこなわれ、約半世紀ほどで、旋律楽器でもあり打楽器的要素ももつ、日本固有の弦楽器「三味線」が生まれました。
楽器を改良し三味線を創造したのは琵琶法師たちとも、「三味線組歌」を創始した盲目音楽家であるとも伝えられています。

三味線音楽とは

三味線音楽とは、三味線を主奏楽器とする音楽全般を総称します。近代になって器楽曲もつくられるようになりましたが、近世ではそのほとんどが声楽曲です。
三味線音楽の概要は、近世音楽種目の大半を網羅していて、近世邦楽とは三味線音楽そのものといえましょう。三味線の音色や奏法が近世邦楽各種を創造し、邦楽が三味線のさらなる改良をもたらしたのです。
三味線音楽は三味線組歌という地歌の最曲種に始まり、ほぼ同時期に三味線を搬送楽器とする古浄瑠璃があらわれました。それにより「語りもの」「歌いもの」という日本独特の分類方法が生まれることになります。

今からおよそ1300年前の奈良時代。

地歌も浄瑠璃も発展的に変化し、ジャンル拡大や「流派」の分化を果たして近世邦楽の骨格を形成しながら歌舞伎や人形浄瑠璃といった日本伝統芸能隆盛の原動力となりました。
説教節や祭文、民謡など、伝承された古来のそれぞれ音楽も、楽器を三味線に置きかえて三味線音楽化されていきました。

歌舞伎の誕生と三味線音楽

歌舞伎の誕生はより多彩な音楽ニーズを生み、それに応えるかたちで各種の音楽エキスを吸収して長唄が確立、常盤津節、清元節など浄瑠璃も歌舞伎音楽に吸収されました。
芸能の従属から独立した音楽は、やがて劇場からもとびだして遊里や座敷にまで進出していきます。
それにともない三味線音楽も多くの楽種とその演奏形態を生み、それらが相互に影響しあい、音楽的離合集散を繰り返しながら、セグメントされたそれぞれの音楽としてのアイデンティティを形成していきました。

三味線音楽とは

三味線という楽器は構造・型・全長がほぼ同じため、素人目にはどれも一緒に見えます。
三味線音楽の発展にあわせて、三味線自体もそれぞれ楽種に適合したものに変化していき、今は十数種類あるともいわれています。
一般的に三味線は棹(さお)の太さで「細棹」「中棹」「太棹」と三分類されています。
「細棹」は、長唄・河東節・荻江節、「中棹」は豊後系浄瑠璃や、地歌・端唄・小唄、「太棹」は、義太夫節や津軽三味線に用いるとされています。しかし実際は、三味線の種類と楽種の関係はもっと複雑で、棹の太さだけでは区別できません。
三味線は胴の構造・皮の張り方・棹の太さなどによって、音色や響きなどが大幅にかわります。これに加え多種の糸・駒・撥(ばち)の組み合わせがなされ、それぞれが別な三味線といえるほど千差万別の音色や響きを出します。
三味線の音色や音量にもっとも影響するのは糸の振動を胴皮に伝える「駒」の大小・材質・重量・位置です。また、琵琶の影響をうけて設けられた「サワリ」の構造的工夫が独特の高次倍音を強調し、三味線の音色に特異性をもたらしています。

各部の名称

西洋弦楽器との違い

三味線は西洋の弦楽器と異なり、数種の調弦(チューニング)を用います。
三味線では調弦を「調子」とよび、代表的なものとして六種類がある。基本的に調子は曲ごとに決まっていますが、部分的に異なる調子を用いることもあります。三味線演奏の途中で奏者が糸巻きを調整しているのを目にしますが、直しているのではなく調子を変えているのです。
西洋の弦楽器の調弦と異なるのは、絶対高音ではなく各弦と相対的なものでしかないということです。なぜならば、唄い手の声域にあわせて調子を決定することがあるからです。

歌舞伎の誕生と三味線音楽

江戸後期に、三味線を伴った「はやり歌」として民衆に愛好されたものを総称して「三味線小曲」、または「三味線小歌曲」と呼びます。職業音楽家による「鑑賞する音楽」を庶民が「自分で歌って楽しむ音楽」が小歌曲です。
いずれも短詞型の歌曲で、十七世紀末にその原型の「弄斎節」や「投節」が大流行しました。天明期に流行った「潮来節」あたりからこうした短編の歌曲を「端唄(はうた)」とよぶようになり、天保末から嘉永初め頃に端唄が大流行、ついに職業音楽家が取り入れるようになりました。
次第に端唄をもっと上品で重みのあるものにしようと、歌を主に三味線は控えめにした歌である「うた沢」が生まれ、明治には「うた沢」の逆のものとなる三味線が歌をリードする「小歌」も生まれた。
明治期には三味線の伴奏で地方の民謡を歌う「俗謡」などが流行り、「河東節」などの再興もあり、三味線音楽の全盛期となった。

琴の歴史、その成り立ちと歩み

琴の歴史今からおよそ1300年前の奈良時代。

中国大陸伝来の「コト」はそれより前の弥生時代に生み出されたとされる日本古来の「こと」と融合し、音楽を愛する人々の手を経ながら次第に洗練されていきました。幾多の時代をくぐり抜け、
奏でられてきたのは、多くの人々を魅了するものがあったから。それはいつの時代にも人々の心を癒し、静かに勇気づけてきた「調べ」にあります。
現在、様々なモノに囲まれ、慌しい日々を送る私たち。
悠久の「音色」に耳を澄ませることで、心と身体を流れる遠い記憶が蘇ります。

三世紀 古代
日本古来の「こと」と大陸伝来の「コト」の
融合宮廷音楽の中で花開く
 

遺跡の発掘などの研究調査から、日本では3世紀頃すでに琴の原型となる楽器が存在していたことが知られています。当時の「こと」は権力者や支配階級の象徴として、祭祀などで使われる神聖な道具、という扱いでした。
8世紀、奈良時代を迎えると、楽典などとともに中国大陸からも「コト」と呼ばれる楽器が日本に伝えられ、両者は融合・多様化していきます。

琴の歴史平安時代には貴族がたしなむ教養のひとつに数えられたといわれます。
その後、複雑化してきた音楽理論や楽器の体系を日本風に整理する改革が行われました。※1「こと」や「コト」をベースにした複数の楽器は、箏(そう)、和琴(わごん)、琵琶(びわ)に集約されていきます。
※2「源氏物語」にも「そうのこと」「きんのこと」「びわのこと」という記述が見られます。仮名文学など日本的な感性が花開いた国風文化のなかで琴は、宮廷に仕える上流階級の女性の間でも親しまれるようになりました。

※1 宮廷での音楽活動を管轄していた雅楽寮が中心となって音楽理論や楽器の体系を整理した楽制改革のこと。
※2 改革前の雅楽の体系は、奈良時代の音楽家である源博雅(ひろまさ)が編纂した「博雅三位横笛楽譜(はくがのさんみおうてきがくふ)」などに伝えられています。

十二世紀 中世
寺院音楽から琴の新しいジャンルが誕生 

貴族の権勢が衰え、武士や仏教の担い手である僧侶が力を持ちはじめる鎌倉時代以降、琴は寺院音楽用の楽器として広まっていきます。水墨画などの絵画、書院や庭園などの建築、茶道や華道などが発展した室町時代には、
琴の演奏においても優れた音楽性や芸術性を追求する様式や型が生まれました。
この時代の終わり頃には、福岡県久留米市の浄土宗・善導寺の僧侶・賢順により、雅楽をもとにした「越天楽」や「春風」「四季のみだれ」などが作曲され、
「筑紫流箏曲(つくしりゅうそうきょく)」というジャンルが編み出されます。やがて時代は戦乱の世に突入。賢順の切り開いた道は、弟子の玄恕、法水の手を経て、後世へと伝承されていきます。

十七世紀 近世
町人が担い手の江戸文化八橋検校により
大衆にも広まる
 

織田、豊臣両政権によって国内が統一され、時代はやがて町人文化が隆盛する江戸時代に入っていきます。琴を奏でる演奏家も、僧侶から次第に、検校(けんぎょう)
や別当(べっとう)、勾当(こうとう)、座頭といった職業音楽家を中心に、市井の演奏家の手へと移っていきました。

琴と形が似ている京都の銘菓「八ツ橋」の由来ともなった、八橋検校もそのひとりです。彼は幼い頃に失明した職業音楽家で、筑紫流箏曲を法水の下で学び、これを改良して、独自の琴の楽曲を生み出しました。
半音階をふんだんに使った表現豊かな技巧的な奏法を考案し、八橋流十三曲といわれる組歌のほか、「六段の調」「八段の調」「乱れ(輪舌)」などの段物(だんもの)と言われる楽曲の原型を作ったといわれています。
このようにして琴は、京都を中心にして全国に普及しはじめました。

山田流と生田流の登場 

町人の間でお稽古事の習慣も…。

上方で、人々の義理と人情をテーマにした浄瑠璃が人気を博していた頃、江戸の浄瑠璃と言われた河東節をベースにして、山田検校が山田流の琴の楽曲を編み出します。
さらに、生田検校が三味線と琴の合奏に適した絃の調律や奏法に改良を行い、生田流と呼ばれる琴の名曲を数多く創作しました。裕福な商人の子女がお稽古事として琴を学び始める習慣も、
町人文化が栄えたこの時代に定着したものです。

江戸時代後期には、大阪の峰崎勾当や三津橋勾当が「残月」「越後獅子」「吾妻獅子」「松竹梅」など、手事物といわれる3部構成の名曲を残しています。

ユニゾンから複旋律へ 

京流手事物でより技巧的に…。

さらに、三味線と琴を単にユニゾン※3で演奏するのではなく、三味線を本手(ほんて)、琴を替手(かえで)として複旋律で奏でる京流手事物(きょうりゅうてごともの)に編曲したのが八重崎検校でした。
これにより合奏の芸術レベルが飛躍的に高まることになります。

京流手事物には、松浦検校が作曲した「里の暁」「末の契」「新浮船」「若菜」、菊岡検校作曲の「磯千鳥」「楫枕」「けしの花」「里の春」「竹生島」「御山獅子」「夕顔」などの代表曲があります。
現在コンサートホールなどで開催される演奏会でもよく取り上げられており、耳にすることができます。さらに、光崎検校が作曲した、高低の琴二面による合奏曲「五段砧」や、吉崎検校による「春の曲」からはじまる組曲が生まれるなど、
琴の演奏における表現力は才能ある音楽家の手により大きく引き出されました。

歌詞の内容に恋愛を取り扱ったものも少なくありません。たとえば五段砧。砧(きぬた)とは、衣類に使われる布を打つための石のこと。身にまとう相手に想いを馳せながら砧打ちをする女性の心情をつづった作品です。

※3 宮廷での音楽活動を管轄していた雅楽寮が中心となって音楽理論や楽器の体系を整理した楽制改革のこと。

近代~現代
洋楽の影響を受けた明治期の作曲技法 

明治維新により近代国家が成立します。検校や勾当などの階級制度は廃止され、明治以前に作曲された琴の曲は古典(古曲)と称されるようになりました。欧米の生活様式や考え方も輸入されてくると、
琴の世界にも新しい価値観が持ち込まれます。それ以降の曲は明治新曲と呼ばれ、洋楽的な作曲技法もふんだんに取り入れられるようになりました。「巌上の松」「明治松竹梅」「御園の松」などを作曲した、大阪の菊塚与一
の「三(みつ)の景色」では、絃を爪などではじくピチカート奏法が使われています。

個の感性を表現する琴 新しいスタイルの探求へ 

その後、「春の海」で知られる宮城道雄が登場すると、一気に洋楽と邦楽のエッセンスの融合や、個人の感性を吹き込んだ近代的作風が切り開かれました。
宮城道雄は16歳のとき「水の変態」を作曲、以後「春の夜」「唐砧」「初鶯」「都踊」「秋の調」など約700曲の作品を残しました。その後、影響を受けた多くの若い琴の作曲家、演奏家がそこから羽ばたいています。

戦後、「現代邦楽」と呼ばれる活動が始まり、洋楽系の演奏家にも琴が新鮮な驚きをもって受け止められ、国外に紹介される機会も増えました。高度経済成長期にはお稽古事ブームにより、一般家庭にも普及。
最近では、ジャンルを超えて、琴や三味線といった和楽器をポップスやジャズ、ロックなどの演奏に取り入れるアーティストやグループも注目され、新しいスタイルの音楽を追求する姿勢が好感されています。

おもな参考文献

題名 発刊年号
箏のためのハンドブック 1993年 坂本正彦 吉崎克彦、水野利彦 大日本家庭音楽会
ひと目でわかる 日本音楽入門 2003年 田中健二 音楽之友社

三味線ができるまで

About Shamisen

琴ができるまで

About koto

STEP.1 木取り

長足・向足

木目の取り方等を吟味し荒木を3つに鋸で切断します

STEP.1 綾杉彫り

長足・向足

音の響きをより良くするため主に刳り甲琴に彫り込んでいきます。

STEP.2 丸口造り①

長足・向足

丸口に象牙をはめ込むため特殊な道具で抑え込みします。

STEP.2 丸口造り②

長足・向足

丸口をはめ込む裏板の型取りをします。

STEP.3 調律

長足・向足
四分六(しぶろく)・竜角(りゅうかく)・柏葉(かしわば)・竜舌(りゅうぜつ)・丸型(まるがた)・前脚(まえあし)・後脚(あとあし)・柱(じ)が主な装飾部品であるが、象嵌(ぞうがん)・蒔絵(まきえ)・寄木(よせき)等の伝統的装飾技法などの
装飾を施します。

STEP.4 仕上げ

長足・向足
金具を取り付け、琴のレベル調整を行い、音響調整をしながら、整えます。

STEP.2 ほぞ、継手合わせ

長足・向足

継手の部分をノミで平らにし、
ほぞ穴を開けヤスリでほぞを作り合わせていきます

三味線材料 天神
三味線材料 天神

STEP.3 丸め

重ね(高さ)、ふくらみ(幅)の寸法に合わせ鉋とヤスリで丸めていきます

猿尾部分はノミで粗方落とした後、小刀とヤスリで形を出していきます

三味線材料 天神
三味線材料 天神

STEP.4 天神作り

長足・向足

なまぞりで型を出していきます

STEP.5 磨き

長足・向足

数種類の砥石を使い丁寧に磨きあげていきます

STEP.6 糸巻すげ

長足・向足

ヤスリとペーパーを使い金物に合わせてすげていきます

STEP.7 皮張り

長足・向足

張り台、木栓(皮に噛ます道具)等を使い手でひっぱり張り上げていきます

三味線材料 天神
三味線材料 天神

STEP.8 断ち切り

けひきと小刀で切り口を仕上げます

三味線材料 天神
三味線材料 天神

STEP.9 糸掛け

長足・向足

お三味線により糸の太さが決まっています

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news更新情報

2024.07.27

和楽器三味線販売の花梨長唄三味線が売却されました。有難うございました。

2024.07.24

和楽器琴販売の紫檀半上角琴が売却されました。有難うございました。

2024.07.23

和楽器三味線販売の花梨津軽撥が売却されました。有難うございました。

2024.07.23

三味線付属品販売の津山撥が売却されました。有難うございました。

2024.07.20

三味線付属品販売の三つ折れケースが売却されました。有難うございました。

2024.07.18

三味線付属品販売の津軽撥が売却されました。有難うございました。

2024.07.16

三味線付属品販売の軽量三つ折ケースが売却されました。有難うございました。

2024.07.13

三味線付属品販売の津山撥が売却されました。有難うございました。

2024.07.12

三味線リサイクル品のNo1647(紅木津軽三味線)が売却されました。有難うございました。

2024.07.08

三味線リサイクル品No1660(金ほぞ津軽三味線)が売却されました。有難うございました。

2024.07.08

三味線リサイクル品のNo1616(紅木津軽三味線)が売却されました。有難うございました。

2024.07.05

三味線リサイクル品のNo1670(金ほぞ津軽三味線)が売却されました。有難うございました。

2024.07.02

和楽器三味線販売の紅木長唄三味線が売却されました。有難うございました。

2024.07.01

琴リサイクル品のNo7240(紫檀巻き17絃)が売却されました。有難うございました。

2024.06.27

三味線付属品販売の長唄用撥が売却されました。有難うございました。

2024.06.26

三味線付属品販売の軽量長ケースが売却されました。有難うございました。

2024.06.26

和楽器三味線販売の花梨長唄三味線が売却されました。有難うございました。

2024.06.22

三味線リサイクル品のNo1645(金ほぞ津軽三味線)が売却されました。有難うございました。

2024.06.19

琴リサイクル品のNo7214(紅木玉淵造り)が売却されました。有難うございました。

2024.06.15

三味線リサイクル品のNo1671(紅木津軽三味線)が売却されました。有難うございました。

2024.06.13

和楽器三味線販売の花梨長唄三味線が売却されました。有難うございました。

2024.06.13

三味線付属品販売の軽量長ケースが売却されました。有難うございました。

2024.06.11

和楽器琴販売の紅木上角琴が売却されました。有難うございました。

2024.06.08

和楽器琴販売の紫檀角巻琴が売却されました。有難うございました。

2024.06.05

三味線リサイクル品のNo1664(花梨津軽三味線)が売却されました。有難うございました。

2024.06.05

和楽器三味線販売の花梨津軽三味線が売却されました。有難うございました。

2024.06.05

和楽器三味線販売の花梨長唄三味線が売却されました。有難うございました。

2024.06.04

三味線付属品販売の津山撥が売却されました。有難うございました。

2024.06.04

三味線付属品販売の津軽撥が売却されました。有難うございました。

2024.06.04

三味線販売リサイクル品にNo1661(紅木津軽三味線)が掲載されました。

2024.06.04

三味線販売リサイクル品にNo1656(紅木津軽三味線)が掲載されました。

2024.05.31

三味線付属品販売の軽量三つ折れケースが売却されました。有難うございました。

2024.05.29

三味線付属品販売の津山撥が売却されました。有難うございました。

2024.05.29

三味線販売の花梨長唄三味線が売却されました。有難うございました。

2024.05.24

琴付属品販売の琴カバーが売却されました。有難うございました。

2024.05.23

和楽器三味線販売の花梨長唄三味線が売却されました。有難うございました。

2024.05.22

三味線付属品販売の軽量三つ折れケースが売却されました。有難うございました。

2024.05.22

三味線付属品販売の長唄用撥が売却されました。有難うございました。

2024.05.20

三味線付属品販売の津山撥が売却されました。有難うございました。

2024.05.20

三味線付属品販売の軽量長ケースが売却されました。有難うございました。

2024.05.19

琴リサイクル品のNo7213の刳甲琴(紅木玉淵造り)が売却されました。有難うございました。

2024.05.17

三味線リサイクル品のNo1653(紅木津軽三味線)は仮予約になっております。

2024.05.13

和楽器三味線販売の花梨長唄三味線が売却されました。有難うございました。

2024.05.13

三味線付属品販売の津山撥が売却されました。有難うございました。

2024.05.09

三味線リサイクル品のNo1147(金ほぞ小唄三味線)が売却されました。有難うございました。

2024.05.08

三味線リサイクル品のNo1646(紅木津軽三味線)が売却されました。有難うございました。

2024.05.02

和楽器三味線販売の紅木地唄三味線が売却されました。有難うございました。

2024.05.02

三味線付属品販売の軽量長ケースが売却されました。有難うございました。

2024.05.02

三味線付属品販売の長唄用撥が売却されました。有難うございました。

2024.04.30

和楽器琴販売の紅木上角琴が売却されました。有難うございました。

2024.04.29

和楽器琴販売の刳甲琴(紅木玉淵造り)が売却されました。有難うございました。

  • 東京都伝統工芸士認定
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